『ソ連の自己解体、その理論的根拠』
「『経済建設論ノート』の発刊にあたって」を、ここに転載します。――
『経済建設論第一巻 商品経済の廃絶――過渡期社会の経済建設』『同第二巻 レーニンの格闘――マルクス主義のロシアへの土着化』(西田書店)を、私は出版した。これには四巻からなるノートがある。後者の核心的部分を整序したものが前者をなす。破産したスターリン主義をその根底からのりこえる理論的作業をおしすすめていくためには、したがってマルクスのマルクス主義を二十一世紀現代の〈いま・ここ〉に蘇らせるためには、だからまたわが黒田寛一の苦闘と営為・その精華としての反スターリン主義理論を真に継承し、革命的マルクス主義の立場を現代世界に貫徹していくためには、このノートの展開それ自体を踏み台とし、検討することが必要である、と私は考える。このゆえに、このノートを出版することにした。整序するにあたってそのほとんどを削除した『第二巻 ソ連の自己解体、その理論的根拠』を最初に発行する。これはスターリン主義の破産の理論的根拠を下向的にほりさげているものである。そのあと『第三巻 レーニン理論の検討――ボルシェビキの経済建設論』『第四巻 マルクス主義の土着化――レーニンの格闘』『第一巻 マルクス共産主義論の発展』という順序で発行する予定である。この順序で読むならば、現代ソ連邦が自己解体をとげたその理論的根拠を下向的にほりさげ、これを基礎としつつ、過渡期社会の経済をいかに建設するのかを実践論的=政治経済学的に明らかにする、というかたちでつかみとることができる。全四巻を一挙に出版することができないのは、きわめて低賃金のパート労働によって自分自身の生活費を稼ぎつつ、この費用をできるだけきりつめて、出版に必要な資金を、私は積み立てなければならないからである。
マルクス主義理論戦線の発展のために、日本反スターリン主義運動の前進のために、この『ノート』を順次読み検討することをお願いする。
『経済建設論ノート第二巻 ソ連の自己解体その理論的根拠』目次
Ⅰ 「価値・価格論争」の基底にあるもの
一 直面していた諸現実
二 資本制的物化の廃絶への背信
三 人間変革の放棄
四 労働時間を基礎としない「労働支出」計算
五 ソ連経済にとって「価格」操作のもつ意味は何か
六 ホズラスチョート、賃金、労働の異質性にかかわる諸問題
A ホズラスチョートについて
B 賃金について
C 「労働の異質性」について
Ⅱ プレオブラジェンスキー「社会主義的原始蓄積」論とこれをめぐるブハーリンとの論争
一 帝国主義諸列強包囲下の経済建設への危機意識
二 「意識性」の対象的確認
三 工業化のための社会的総労働の配分計画
実体的威力を付与された「社会主義的原始蓄積法則」
「剰余生産物」というカテゴリーを駆使することの限界露呈
農業部門と工業部門との「不等価交換」とは?
「賃金等級」の問題のほりさげの欠如
四 ブハーリンの「価値法則の、労働支出法則への転化」論にはらまれているもの
「価値法則をしてわれわれの目的に奉仕させる」とするのはなぜなのか?
「価値関係に立脚しない価格」論の「均衡」論による基礎づけ
五 スターリン派の「過渡期における価値法則の合理的利用」論
(付)
Ⅲ スターリンの強制的農業集団化について
――渓内譲『スターリン主義政治体制の成立』と関連して――
一 スターリンのゾウリムシ的対応を研究することの困難
二 渓内譲の研究
党の「クラーク概念」の解明とは?
「農業共同体の一体性・自発性」の原理化
三 当時の党・国家の諸実践
スホードを換骨脱退する論理の欠如
貧農・バトラークを組織化するための党の諸活動の問題性
ウラル・シベリア方式
四 穀物の義務納入制
(付)
コラム 「体制移行の政治経済学」なるもの
Ⅳ スターリン主義的計画経済の破綻を弥縫するためにあがき
――カントロヴィッチの「数学的方法」について――
一 ぬきさしならぬ諸事態と対立したままの論争
二 ほりおこされた最適計画のための数学的方法
三 最適計画を選びとる方法の原型
四 機械の賃貸評価・投資の標準効率・生産物の標準評価
五 方程式を解かなければ算出できない価格
Ⅴ 定式化されえなかった「国民経済バランス表」
一 われわれが構想する計画の実在化
二 労働論=実践論の欠如
三 生産諸手段にふくまれる労働量の重複計算という問題
四 「非生産部面」とは?
五 表に書きこまれた数値は何を意味するか
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本文
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表紙
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